手と涙 〜婚約者はピアノ講師〜

すると、不意に朱里が立ち止まり

こちらへと視線を投げかけた。



しかし、その視線は柚香ではなく

少しズレているようで。


視線を追うとその先には・・・。



(・・・ナニ・・・コレ・・・)



朱里と蒼介は、

まるで周りの時間が止まったかのように

見詰め合っていた。


その表情は、どちらも切なく

哀しみに溢れているようで・・・。


柚香はなんとも表現しがたい

厭な予感が湧き上がってくるのを感じていた。