月の恋人



あたしの視線のすぐ先には
困惑の色を浮かべる翔くんの目


その顔が、涙で揺らめく。







「…どー、して?…」



思わず口から出たのは
自分の声じゃないみたいな
掠れた、鼻声だった。





「…翔くん、怒ってるの? あたし… あたし、翔くんに、何かした?」



翔くんが
あたしの事、怒ってるかもしれない


そう考えただけで
目の前が真っ暗になった気がして


涙を抑える事ができなかった。