月の恋人



「…陽菜ちゃんの髪、柔らかいね。俺のと大違いだな…」


翔くんがあたしの髪を撫でながら言う。

離してくれる気はなさそうだ。




「…っ……そう?」


あたしは
くすぐったいような
不思議な感覚に支配されて
その場に立ち尽くす。



(…だ…誰か助けて!!!)


無意識にそんな事を思ってた。



だって


翔くんが
あたしの髪に触れてる。


それに

こんなに翔くんの近くに来たのは久しぶりで

あたしより
随分高くなってしまった身長や

手の大きさや

肩幅の広さ


その全てが

翔くんはあたしとは違う
…オトコノコなんだ


そう、主張してるようで



なんだか無性に
逃げ出したくなった。