月の恋人










その日は、明け方まで宴会が続いた。




子供よりも、大人の方が盛り上がっていた気がする。


『青春時代のピュアなエネルギーに感化されちゃったわ』なんて言ってたのは…きっとママだ。




悟おじちゃんと翔くんは、

きっとこれから長い話し合いをするのだろう。




でも、今日のステージを見てから

おじちゃんの目も、少し優しくなった気がするから。







――…きっと、大丈夫。



そう、思うんだ。







酔いつぶれた大人たちは

皆ソファに寝ていて





明け方、あたし達がそっと
お店を抜け出してビルの屋上へと向かったのを、誰も知らない。






きっと―… 涼、以外は。





あたし達が部屋を出るとき、

顔はテーブルに伏せたままで

涼が、小さく手を振ってくれたのが、見えた。







“いってらっしゃい”


無言のメッセージに、送り出された気がした。