月の恋人




あぁ、…そうだ。

きっと“音を楽しむ”って、こういう事なんだ。




“音楽の力”なんて

言葉では簡単に言い表せるけど



その、意味を

はじめて、本当に理解した気がする。





――…理屈じゃないんだ。





そして、こんな風に

音楽を、音楽として届けられる

アナザーのみんなは、

本当にすごいって、思った。







―――……








お腹の底から生まれてくる、この衝動は、何だろう。








――…歌いたい。







―――…あたしも、歌いたい。








ごくりと喉が鳴った。









歌いたい、歌いたい、歌いたい。





あたしも、彼らと同じ世界を共有したい。


彼らと一緒の景色を見て、一緒の音を生み出して―…その一部になりたい。



強烈な願望が、湧き上がってきた。