月の恋人












突然、大地が揺れた気がした。


会場から、“わぁっ”という大きな歓声が押し寄せてくる。







――…翔くん?






いつの間にか

扉から漏れてくる音が、明らかに異質なものに変化していた。





『静』から、『動』へ。


氷の粒のような音の美しさはそのままに

見事な、変化だった。






――…ダンス・ミュージック??









今までの幻想的な空気とは打って変わって

踊りだしたくなるような音とリズムが、全身を鼓舞する。






え―…これ…アナザーの演奏なの?





扉を開けてみると、そこでは3千人のお客さんが思い思いに身を揺らして


フロアが、巨大なダンスホールのようになっていた。