―――… そうだ。 俺は、こうなることが怖かったんだ。 ほんとうは、心のどこかで知っていた。 陽菜ちゃんがふと遠くを見つめるたび 涼の部屋の前で立ち止まるたび 会話の中に 沈黙が訪れるたび 彼女が、涼を想っていたことを。 “渇望” そう呼んでもおかしくないくらい 彼女は、涼の存在を求めていたのだから。