月の恋人




◆




「はい、 とりあえずコレ飲んで。」



白い液体の入ったカップから
湯気が立ち上っている。

ホットミルク、かな。温かそう。


ゆらゆらと揺れる白い蒸気を目の端に映しながら、大男を見つめた。





――― あたし、どうしてこの人に逆らえないんだろう…





『うわっ、びしょ濡れじゃん! とりあえず、俺んとこおいで!』




翔くんよりも更に淡い
白に近い金髪

顔や耳に沢山空いたピアス

威圧感のある身長



見た目はかなり怪しいのに、どうしてか…

信用してもいい何かがある気がして

言われるがまま
近くにあるという
この人の家に来てしまった。





―――…不思議な、人だ。




「おい、そんな目で見つめんなよ… 不思議なコだね、ったく…」



ちょうど思っていたことをそのまま返されて

絶妙なタイミングに思わず笑ってしまった。



「………… ヤバイ。」


「…… え?…」



「………いや、なんでも。それ飲んだら、シャワー使いな。着替え、置いとくから。」


「いえっ、そんなの… 」


「いーから!言うとおりにしろよ。このまま帰したら、俺が翔に怒られる。」





“翔”くん…



――この人なら、知ってるかも、しれない…