月の恋人




リビングでは、電話機の留守電ボタンが、赤く点滅して着信を知らせていた。


どうして、こんなに不安になるんだろう。


その点滅に不穏な感じを覚えたのも、また直感だった。





――… 良い知らせ、では、ない…気がする






―――…ピー
(用件ヲ、一件、再生シマス…)


無機質な電子音とアナウンスに続いて聞こえてきたのは、あせったようなママの声。




『もしもし?涼?そこに、いないの??雨降ってきたから、洗濯物取り込んでおいて!あと、翔くんから何か連絡あった??』




―――… “翔くんから、連絡”?




『今夜も帰らないようなら、警察に行かなきゃいけないから、ちゃんと電話気にしててよ!、って言ったのにもう…』




―――… “警察”!?




『あと、陽菜には、まだ知らせないでね、って、いい?ちょっと?涼――??』


そこで、録音が途切れた。






ちょっと待って、なに――――――?