月の恋人



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勢いよく飛び出したけど

翔くんの姿なんて

とっくに見えなくなっていた。




でも、なんとなく

あたしの勘が



「あっちだ」って命令を下してる。




行く先は…、繁華街の裏路地。



昼間は人通りも少なくて
寂れた感じがする暗い通りだけど

夜になると
ピンクのネオンが輝いて


まるで、別の街みたいになる。



普段だったら
絶対、近付かないエリアだ。




でも、

さっき
マックの窓から一瞬見えた翔くんは


真っすぐに、ここを見据えていたような気がするんだ。




――…目的を持って。