月の恋人



『ああもう、じれったいっ!』

亜美が叫ぶ。




『陽奈の希望については、宿題! 次までに考えておいて!』


『亜美…』


『あたしのことなら心配しないで。この後デートだし。』



気を遣って
そう言ってくれた、亜美。



『…ありがと、亜美。あたし… 行ってくるね。』




行って、会って、どうするの?

そんなこと、はなから考えてない。






でも。



――『陽菜は、どうしたいの?』



さっきの
亜美の質問に

ひとつだけ
答えられるとしたら。



いまは、

あたしの足が向くままに
心の赴くままに



――…追い掛けたい。


そう、思ったんだ。







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