高峰君の秘密




「ご乗車ありがとうございましたー…」



無言のまま、電車を降りる俺達。

気まずいの度を越えている。



俺ばっかドキドキしてるけど…

深川は何とも思ってないんだよな…?


あー…

そう思うと、何か俺…



「高峰っ!」

「え?」



後ろにいた深川に、急に名前を呼ばれて振り向いた。



「バカ!!」

「は!?」



振り向いた俺に、“何か”がぶつけられた。


痛く、はないけど…


それが地面に落ちると同時に、小さな音がした。



「今日付き合ってくれたお礼!!
無理やり付き合わせてごめんね!!
じゃあ、また学校で…っ」



え…?

はい?

ちょっと…



「おい!!」

「離してよ、帰りたいの!!」



さっぱり話分からないけど…


なんで…?



俺は、逃げるように帰ろうとした深川の腕を掴んだ。



「泣く理由分からない…
俺、何かした…?」

「ばっ…
泣いてないから!!」



顔を反らす深川。


嘘だ。

深川の泣いた顔…俺、見たし。



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