「……んで、昨日拾った男も黒木和也だった訳だ。莠馬の事忘れるのにはいいチャンスなのかもね?」
そうかもしれない。
でも……
私が前に進んだら………
「莠馬くんが過去になっちゃうよ。莠馬くんは私の今であってほしいの。過去になってほしくない。」
これが私の本心。
「……莢華。莠馬はもう4年も前に居ないの。」
「……知ってるよ。」
知ってるからもう何も言わないで。
「……4年も前に居ないんだよ?莢華には未来があるんだよ?」
「わかってる。」
「わかってないよ!!莠馬は死んだの!!!いい加減に前に進みなさいよ!」
薔華………
私のためを思って言ってくれてるのはわかってるよ。
でも………
莠馬くんは私のすべてだから……
そう簡単に忘れられないの。
私の頬に涙が伝う。
とめどなく溢れる涙。
「莢華……ごめん、ごめんね。辛いのは莢華なのにっ……苦しいのは莢華なのにっ………」
優しく抱きしめて頭を撫でてくれる薔華。
私が弱いせいだね。
「……迷惑かけてごめんね、薔華っ」