都合のいい私

リョウは私の腕を引っ張って


そのままどんどん進んでいく


少し人通りが少なくなったところで


リョウは立ち止まって


私の腕を勢いよく離した


『……ちょっと何するの?』


『おまえさマジでなんなの?』


今まで「おまえ」なんて呼ばれた事ないから嫌な気分になる


『何が?』


『あの男誰だよ?』


『あの男って……白石さんの事?
バイトの先輩だよ。偶然会って…』


『マジでムカつくんだけど』


『そんな事で怒ってるの?』


リョウの態度に私も少しイライラした


だって怒られる理由なんて一つもない