力任せに掴まれた腕を勢い良く振り払って。










「初めて振られた女の顔をそう簡単に忘れられたら,おもしろくないからね。」



しっかり彼の記憶に焼き付くように。消えないように。



「女は物じゃないんだから…!」



わざわざ出向いてやったんだから,感謝してよ。





「鍵はちゃんと閉めなよ。」



だらしなく腕を垂らした彼に忠告してから,二度と訪れることのないマンションにさよならを告げた。










‥fin‥