「いや、いいとか……そんな問題じゃねぇし」


透は私の手をギュっとつかみ、やっとのことで引き剥がす。


「あはは、透の顔真っ赤だ~」


透の顔は私の指の後がついてしまってる。


「ヘンなことすんなよ……」


「ほらね!」


「は?」


「あーんなヘンな顔しても、私が手を離したら、もう元の透なんだよ。透だって、たまにはハメ外してもいいと思うよ!

ヘン顔したって、失敗したって、全部私の大好きな透だもん」


「……おー。なんか意味わかんないけど、一発芸はそれか」


あれ、怒った?


さっきまでの笑顔は消え、余計クールな顔になってしまった気が……。


マズかったかな。


ケータイを床に置き、じっと私を見る。


「うわ、ごめんなさい。透……?ヘン顔もイケてたよ??」


苦し紛れの言い訳。


いや、悪いけどあの顔は……おもしろかった。