「……良かった。変わりたいって、思ってくれてたんだ」


『迷惑だ、なんでこんな嫌なことするんだ』って思われてなくて、良かった。


透が何を思おうか気にしないって思ってたよ。


けど、落ち込んで立ち直れなくなったらどうしようっていう、そういう見えないことに対する恐怖は……心の奥底にあった。


自分では、意識しないようにしてたけどね。


「ん。小堀見てると、オレって過去に囚われ過ぎだなって思う。同じクラスになって、小堀んことよく見てたけどさ、

イスがない場所に間違って座ろうとして床に尻餅ついたり、教室の入口でつまずいたり……

授業中あてられて思いっきり答え間違えても、笑ってごまかしてたり」


「え。最悪な場面ばっかだね」


透も、変な所ばっか覚えてないでよ。


「最悪か?オレにとっては、なんか微笑ましかった。

普通は泣きたくなるような所でもさ、「あははっ」て笑ってんだぜ?

すげー強いなって思って、羨ましかった。あーなれたらなぁっていう、憧れも……あったかもな」


透はそう言うと、私の身体をパッと離した。