ラブシチュエーションアイツが弟?

今度こそ、くるのかっ!

イメージだけでしか知らないキス。

マンガやドラマでは、みんな素敵にキスしてるよね。

……甘いキスってどんな味?

うっわ~、緊張するっ!

一瞬の間に色んなコトを考えた。




透の手が、私の両手をギュッとにぎる。

目閉じてるからわかんないけど、そろそろ……くる、よね?





「……ごめん。やっぱできない」


……へっ?

透は私から離れてしまう。

キス……できないって、言った?

「と……透?」

「ごめん……」

いや、謝られても。

まさかの2度目の中断。




透は、気まずそうな顔をして、ベッドに腰をおろす。

さっきまでのSっ気が、まるで嘘のようだよ?

「……どうしたの?」

「……できない」

できない?

それって……、私がキスするのに値しない女だってコト?

うわ、彼女失格~!




「わ……私からキスしてなんて言ったからだよね。……ごめん」

透のとなりに座ると、透は目をつぶったまま、首を横に振った。