「わかった。もう、いい」

えっ?

透はそう言うと、私から手を離してしまった。

なんで?

そっか……明梨ちゃんの話、もうしちゃいけなかったんだ。

「ごめん! もう明梨ちゃんの話、しないから」

「結局さ……」

透はなにか言いたげにしていたけど、そのまま口を閉じてしまった。

うっそ、怒らせちゃった?

「ごめん、透。ねぇ、もう言わないから怒らないでぇ~」

そう言ってもダメみたい。

透は靴を脱ぎ、ろう下を歩いていく。

そして、自分の部屋に入っていった。




うそー。

困った。

私、またバカやっちゃった?

ウザイって思われたかな。

どうしよう……。




とりあえず私も自分の部屋に入り、パジャマから服に着替えた。

お昼になる時間になっても、透は部屋から出てこない。

ちょっと不安になって、透の部屋をノック。

返事がない。