「じゃあ、オレのコト信じて」

私の言葉を遮り、透は私の手を握ってきた。

明梨ちゃんの気持ちを私が伝えないといけないのに……もう、それ以上話せない雰囲気。

「……うん」

明梨ちゃん……ごめん。

どっちみにち今の透には、私がなにを言っても通じない気がした。

もう少し時間を置いて話してみよう。

明梨ちゃんの泣き顔が頭に浮かんでいた。

あんなに必死に……お兄ちゃんのコトを想って謝っていたのに。




そのまま手をつないだままエレベーターに乗り、自宅に向かった。

家に入る前に、玄関横にあるプランターに目がいく。

そ……そうだ。

花の話を透にすれば、少しはわかってもらえるかも。

「ねぇ、透。この花、明梨ちゃんが好きな花だって言って、喜んでたよ。

『お兄ちゃん、私のコトまだ妹って思ってくれてるんだ』って」

私がそう言うと、透はため息をついた。

……あれっ?

そこ、感動するシーンじゃないの!?