ラブシチュエーションアイツが弟?

明梨ちゃんを見送り、部屋に戻ろうとすると……

部屋のカギを持っていないコトに気付く。

しまった……。

慌てて飛び出したから、なにも持って出なかったんだ。

エントランスの自動ドアは閉まっていて、もう入れない。

透、ぐっすり寝てたし、起こすのもなぁ。


仕方ないや。マンションの人がここ通るまで待とうか。


そう思って待っていたけど、だぁれも通らない。

パジャマ姿で入口にしゃがむ私。

しばらくすると、

――ウィーン。

と、音をたてて自動ドアが開いた。


ハッと顔を上げるとそこにいたのは、透だった。


「……そんな格好で、なにやってんの?」

呆れ顔の透。

私は安心し過ぎたのもあって、透に思い切り抱きついてしまう。

「透~っ! カギ忘れちゃって……」

「そんなコトだと思った。起きたらいねぇし、カバンも置いたまんだし、着替えた風でもないし。

明梨もいなかったけど……追って来た?」

「うん。明梨ちゃん、帰るって言うから」

「やっと帰ったんだな。

だったら昨日帰りゃいいのに……」

「えぇっ、そんな言い方ないよ」