「そう、だったんだ。……透、誤解してるかも。明梨ちゃんの今の気持ち、もう1回伝えてみようね」

そう言いながらも、透が家に戻ってしまうと

ここからいなくなってしまうわけで。

なんだか複雑な想いが胸にわいた。



「私が言ってもダメだから……。お姉ちゃんから伝えてほしい」

明梨ちゃんがギュウッと私のパジャマの袖をつかむ。


「明梨ちゃんの気持ち、透に話してはみるけど。もう今のお父さんと一緒に住んでるわけだし、どうなるかはわかんないよ」


私がそう言うと、明梨ちゃんはコクッとうなずいた。



「うん……。お姉ちゃんに詳しくは話せないけど、『あんなコトしてごめんなさい』って

お兄ちゃんに伝えて下さい。ホントにごめんなさい……」

“あんなコト”っていうのは、きっと首を絞めようとしたコトだよね。

愛情って怖いな。

好き過ぎてそうなるのかな。

明梨ちゃんはそのまま寝てしまい、そのうち寝息を立てていた。

そっと部屋を出て、リビングに入ると、透はソファで眠っていた。