「お兄ちゃんの部屋、いつでも空けてるから。

戻って来てね、明梨のために」

そう言って笑顔で階段をおりていく。




母さんが休みだけでも泊まりに来て欲しいっていうから仕方なく来ているだけで、

もうこの家にはなんの未練もない。

オレの本当の家は、ここじゃない。

早く……

自分の家に帰りたい。



また、1階におり、リビングに入ると

家族3人が楽しそうにテーブルを囲んでいた。

オレがいない方が、オヤジも楽しそうだしな。

またあの愚痴を聞かされると思うと、この数日気が重い。



「透、ここに座れ。お前の場所はいつでも残してあるからな」

オヤジもよく言うよ……。

そう思いつつ、これがホンネならいいのにと思う。

でも、違う。

「そういえば透の元クラスメートが訪ねて来てたぞ? 今はホントのオヤジと楽しく暮らしてますって言っておいたがな」

そう言って、楽しそうに笑い飛ばすオヤジ。

そっちが本音かよ。