瞬間、身の毛がよだつ。

慌てて部屋の扉を閉めると、中から明梨が出てきた。



前と変わらない屈託のない笑顔。

長い髪をサラサラと揺らしながら、オレの前に立った。

「そんなに驚かないでよ~。傷ついちゃう」

思わず、一歩下がるオレ。




「もうなにもしないって言ったでしょ。……年に数度さえも来てくれなくなったらイヤだもん。

まさかあんなコトでウチ出て行くと思わなかった」

そんな寂しそうな表情をされても、もうなんとも思わない。

あんなコトされるまでは……

ホントに、その目に見える表情だけが

明梨の本心だと思ってた。



けど、

違った……。