「透~! こっちでみんなで食事しましょ。

悪いけど、明梨を2階から呼んで来てくれるかしら」

母さんの声にハッとする。

オヤジはもうリビングに戻っていて、ここにはいなかった。




夕食の時間に合わせて、こっちの家に来たものの

ひとりで置いてきたみちるのコトが気にかかる。

みちる、ちゃんと食べてんのかな……。

なに食ってんだろ。




2階には上がりたくないけど、母さんに心配かけるわけにいかないし

重い足を引きずりながら、2階への階段をのぼる。




今までは2階の2部屋を、オレと明梨が1つずつ使っていた。

今でも……母さんがオレのために1部屋残してくれている。

もう、戻る予定なんてないのに。

ただ、家具は全て今のマンションに持って行ってしまったから、オレの部屋にはなにもない。



――カチャ。



と開けてみると、元のオレの部屋に

明梨が立っていた。