我が母親ながら、そう真正面から言われるとやっぱり照れる。

思わずうつむきハニかんだ。

「透、その服いいじゃない! センスもいいわね。

……ごめんねぇ、あのお父さんとふたりだと生活も大変でしょ? またいつでも戻って来ていいのよ」

母さんが心配そうにオレの顔を見つめる。

できれば、そうしたかったけど

できない事情がここにはあって。




リビングの扉がガチャッと開く。

そう……

この家には、他人がふたり。

妹と……その本当のオヤジ。

今となってはもう籍を外れたけど、オレの義父がそこにいた。




「おう、透。久しぶりだな。帰ったらまずオレに挨拶するのが筋だろ」

偉そうに、そう言い放つオヤジ。

何年住んでも慣れなかった。

母親は好きだけど、このオヤジだけは……。