さっと目をそらすと、妹もそれがわかっていたかのような嬉しそうな声をだす。

「お兄ちゃん、大丈夫だよ。私、もう……なにもしないから」

クスッと笑って、そのまま2階に上がっていく足音だけを聞いていた。




……だから帰りたくなんかないのに、このウチに。

オレの妹は

妹は……。



「……おえっ」

考えだしたら気分が悪くなってきて、トイレに駆け込んだ。



その間に母さんがろう下をバタバタと走る音が聞こえる。

「明梨~(あかり)? お兄ちゃん帰って来たんじゃないの?」

母さんの声が聞こえて、少しホッと胸をなでおろす。

苦しくなってきた胸も、少し落ち着いてきた。



――ガチャ。

トイレから出て、母さんの顔を確認した。

「あぁ、透! 久しぶりね。もう来てたのね。まぁ、相変わらず透はステキね」

よく言うよ……。

自分と同じ顔してんのに。