「私は、近藤勇とかが生きていたら、刀を持たずに平和に暮らしていたんだと思う」 男は一瞬、驚いた顔をしたが何もなかったかのように 「なんで?」 と聞いた。 眉間にシワを寄せて、陽菜は少し微笑む。 「なんとなく、だよ?会ったことはないけど、そんな気がする」 男は、手に持っていた本を見て、口を開いた。 「不思議だね」 「え?」 「俺も、幸村さんと同じこと思ってたんだ」 「そうなの?」 「ん、まぁね」