いつか、桜の下で…



「起きても大丈夫なの?」



倒れてから、結構時間が経っているのか、男は本を手に持っていた。


陽菜は軽く頷いて、ゆっくりと起き上がる。

「ここ…保健室、だよね?」



ベッドの周りをカーテンが覆って、詳しくはわからなかった。

けど、独特の薬品のにおいが充満していたのだ。




「ん?そうだよ」




男は、ニコニコしながらそう言う。

「貴方がここまで…?」




「正解」




沈黙が続いた。