あたしは大学四年の3月に、ひとり雄太を産んだ。 それはもう、就職内定の終わった後のこと。 太一がいない以上、このまま働くことを選択するしかなかったのだ。 幸い、その時は母がまだ元気で、昼間の雄太の世話を引き受けてくれたし。 母は、雄太の父親のことを詳しく聞くこともなかった。 多分、薄々わかっていたのだと思う。 だから、深く詮索することを躊躇ったに違いない。 だって、あの頃のあたしには太一だけだったし、 雄太を産むと決めたあたしは、実際どこか吹っ切れたようにあっけらかんとしていたから。