出されたお茶を目の前に、山村さんは暫く無言で下を向いていたっけ…… 「突然、見知らぬ男が訪ねて来てこんなことを言っても信じて貰えないんじゃないか。 そんなことは重々承知しています。 でも、僕がお知らせしなければ、多分、これからもずっとあなたは彼の死を知らずに彼を待ち続けることになる」 「え? 今何て?」 「村井君は、先月亡くなりました」 「嘘? そんな筈はありません。 先月、私の手元には彼からの葉書が……」 あたしは台所に走ると、冷蔵庫の扉にとめた一枚の絵葉書を剥ぎ取った。