いつかの社長室の出来事が脳裏をかすめて胸がギュッて苦しくなった。
さっきまであんなに真っ直ぐ目を見れてたのに。今はもう顔をあげることさえもできなくなって。
「……逃がさねぇ。」
「………っ!」
「絶っ対ぇ…逃がさねぇからな」
静まり返った部屋に響く社長の声に、私の体も決意も心も…すべてが囚われる。
何も言えなくて、だけど必死に首を振って拒否を示した。
そうしたらそれを見た社長は掴んでいた手首を解き、私の手を握った。
さっきまでの手首を掴んでいた強い力じゃなくて、大きくて熱い手で優しく私を包むようにギュッて手を握った。
その突然の出来事にびっくりして握られた手を見つめる私に、社長は切ない声で謝罪を口にした。
「ごめん…。
ごめんな…サツキ」

