負けるな!怯むな!
社長の炎を見ようとも、心で必死に自分を激励して応戦してたのに。
千ちゃんが…。
睨み合ったままの私たちの間で千ちゃんが――――…コホン。
空気を変えるようにひとつ咳払いをしたからそっちに気をとられ目をやってしまい、視線が外れた。
「あ~…………。
まぁ後は若いお2人で…失敬っ!」
何の席だよっ!って突っ込みを誘う文句を残してさっさと出てった。
残された私たちは唖然とするしかなく、でも会話もなくて。
突っ立ったままの社長がカツン…っと革靴の踵を鳴らして歩を進め、さっきまで千ちゃんが座ってたパイプイスに腰を下ろした。
すぐ横に来て、距離もなくなって身動ぎした私を逃すまいと社長は私の手首をグッと掴んだ。
その手は驚くほど熱くて。そしてその力は抵抗を許さないことを示していた。

