だけど…その手には縋れない。
社長にこうやって救いの手を差し伸べるてもらうのはこれが2回目。
1度目は忘れもしない、私を自由にしてくれた。
私を縛る枷を外してくれただけじゃなく、私に居場所も与えてくれた。
社長の懐の大きさと優しさを感じたし、もちろん感謝もしてる。だけど…それと同時に私には返しきれない恩と、償い切れない咎(とが)を抱えた。
私にはそれが時に重しとなり、時に傷となり…。でももうそのことを口にするのは憚れて気付かないふりをし、忘れたふりをして胸に閉じ込めてきた。
それをまた今救おうとしてくれる社長のその手を取ってしまったら………また同じ事の繰り返しだ。
また社長に私を背負い込ませてしまう。私のせいで社長が拘束される。
私に荷担すると社長は色んなものに制限がかかる。社長としても一個人としても。

