そんなことを繰返す私をよそに、よっぽど急いで来てくれたのか、千ちゃんはハァハァと肩で息をしていた。


聞きたいことや言いたいことがいっぱいあるのに、口と鼻を覆う酸素マスクが邪魔で思うように話せない。


だから取ろうと、点滴の針が入ってない方の手を口元に持って行こうとしたら…


「あ、それまだ取るな!」


…私が何をしたいかわかった千ちゃんが止めた。


何でよ?しゃべりにくいんだってばっ!


言葉にできないその思いを眼差し乗せて力強く千ちゃんを見ると、その思いが通じたのかベット横に来てくれた千ちゃんが顔を覗き込むようにして説明してくれた。


「お前、肺炎起こしてんだよ。

雨に打たれたまんまにしてっからだ。ちゃんと熱いフロ入って温まってから飲めよ」


呆れ半分、心配半分。

複雑な顔して千ちゃんは言う。