電話を終えた本田医師は携帯をポケットにしまいながら…
「悪いが俺はそろそろ戻らねぇと…」
…って言ったけど、ハルの落ち込みように同情したのか…
「サツキに何かあったら連絡してやるよ」
…そう最後に言ってくれた。
「よ、よろしくお願いします」
足早に去る本田医師の後ろ姿に俺は急いで声を掛けた。
その場に残された俺たちの間を冷たい風が通り抜け、数分が経った。
俺は…サツキちゃんの病室同様、ただ静かにハルの横に座ってハルを見守っていた。
しばらくして、髪をガシガシと掻きだしたハルは漸く顔を上げた。
そして……。
「アイツ…目ぇ覚ましたら覚えてろよ…?
2度そんなくだらねぇこと言えねぇように体に叩き込んでやる…!」
迷いは吹っ切れたみたいだ。

