「『店を辞めれて、今まで以上に近付けて、側にいれて。気持ちにブレーキかける必要もなくて…って思ってたんだけど。

実際は…近付くどころかどんどん離れていってる。それに…何も言えなくなった』って…。


『社長の払った犠牲を知ってるから。仕事も会社も、一緒に仕事してる親友のことも…みんな好きなのに私なんかのために全部捨てようとしたのをこの目で見た。

そこまでして助けてくれた社長に私が何ができる!?何を差し出せる?

私には何の価値もないのに…それでも社長は助けてくれた。

私が何をしてきたかも知ってて受け入れ、もしかしたら得意先にバレる可能性だってあるのに内定もくれて…。

そんな社長に…何も言えるわけない。

ムカついても、文句言いたくても…言えない。

私には社長に負い目があるから…何も言えない』

……そう言ってた」