ハルも似たような経験をしてる。
親の期待を裏切って俺と会社を興すことを選んだハルは全てを失った。
住んでるマンションも車も。
親の庇護も後ろ盾もなくなり、文字通り無一文になったハルに用はないと言うように周りにいた奴らも去った。
そんな腹立たしくも、悲しくもある中でハルは……笑ってた。
今の本田医師みたいな清々しい顔して、「静かになっていい」とか言って笑ってたなぁ…。
何だか懐かしい気持ちに包まれていたら……
「…な?だから言ったろ?間違いは起きないんだよ。
厳密には…起きようがないんだけどな。女に興味ないから。
まぁサツキは…“女”っつぅか“妹”って感じだしな。
それに…こんな俺は心底惚れる女に出会ってこの煩悩を払拭してもらわなきゃヤることもできねぇしな」
…ハハハっと笑ってそう言い纏めた。

