「あぁ、そうだ。
ちなみにだけどな、そんな女嫌いになってしまった俺に懲りない親はまた縁談を持ってきたんだ。
だから『女に興味ない』っつったら、さっきのお前達みたいに『男が好き』って早とちりした親父にあのマンションとかなりの額の金を俺に持たされて勘当されたよ。ハハッ…!」
「ハハッ…って!!笑うとこ、そこっ!?」
ダークな余談に俺はそう突っ込むも、結構あっさり「おうっ!」なんて言ってる本田医師。
「『大病院の跡取り』って枷が外れて結構せいせいしてる。
この病院で俺の実家が大病院ってこと知ってる奴はいねぇし、何よりここにいる奴らは俺自身を見てくれるから嬉しい」
そう続ける本田医師の顔はホントに、心底晴々していた。
その顔を見てたら、俺の横で静かに本田医師を見つめるハルと似てる気がした。

