「でも…ある日な、仲良かった同期の奴が結婚するってなったんだ。
まぁデキちゃった婚ってやつだ。別に今の世の中じゃめずらしくも何ともねぇよ。医者とナースがくっつくなんてのもよくある話だ。
だけど…俺は聞いてしまったんだよ。女の執念というか、本音を……な」
そう言って懐中電灯で下から光を当てたぐらいの恐ろしい顔して本田医師がこっちを向くもんだから、背中に冷たいものが走りブルッと震えた。
な、何があったんだ!?
何だよ、女の執念って!
いつしか本田医師の話に引き込まれ、身を乗り出して俺たちは続きを待った。
「その同期の彼女は同じ病院のナースで、俺たちより3つ先輩だった。
俺が同期の奴から結婚することを聞いてからしばらく経ったある日…。
その日俺は午前中の仕事が長引いたから遅めの昼飯食ってたんだ」

