「俺は…『女性恐怖症』なのかもしれねぇ。……わかんねぇけど。
うまく言えねぇけど、そんなもんだろ。……多分」
「……分かるようで分かんねぇんだけど」
ハルのその言葉に俺もコクコクと頷いた。
すると本田医師はフッ…と儚くも寂しくも見える笑いを浮かべて続きを話してくれた。
「俺んちな、代々医者なんだよ。実家は結構な大病院だし、俺はそこの跡取り息子だよ。
あ、いや…跡取り息子だった…だな。
まぁ、よくある話だよ。
吸収合併だとか、政略結婚だとかさ。俺の親もそうだったらしいしな。
だから当然のことのように、俺にも縁談が持上がった。どっかの小さな経営破綻寸前の病院の娘だったかな??
まぁ何にせよ、とりあえず会うことになってな。指定された場所に行ったんだけど、来ねぇんだよ、相手の女」

