裏庭とはいえ、一応ここは病院の敷地内だ。
しかもそこに勤務する医者が見舞客と乱闘とかまずいだろっ!
ちょっとは考えろよ!
お前医者だろうがよっ!
その思いで2人の間に止めに入ったものの…ハルはなすがままに胸倉を掴ませていた。
戦闘の意思がないのを表すためか、目を伏せ本田医師を見つめないまま言葉を紡ぐ。
「……殴れよ。
アイツを守れなかったのも、アイツがこんな目に遭ってんのも……全部俺のせいだっっ!!」
悲痛な声で叫ばれたその思いに、本田医師は掴んでいたハルの胸倉をバッ…と放した。
そして座っていたベンチに戻るとドサッと体を預け、気を落ち着かせるためか天を仰いだ。
寒空の下、沈黙が流れたが本田医師がポツリと…
「お前らすれ違ったまんまかよ…」
…と呟いた。

