俺は…当時のサツキちゃんのその言葉に涙がこぼれ落ちそうだった。
どんな思いで毎日を生きてたんだろう…。
睡眠薬に縋って眠る夜をどうやって耐えていたんだろう…。
眠っている時は幸せ…と自分に言いきかせて眠って、魔法が解けるように迎えた絶望の朝を何度乗り越えてきたんだろう…。
もっと早く助けてあげたかった。
もっと早く出会えてたら…。
そう願わずにはいられなかった。
でも……きっとそれはハルも同じだ。
だって…隣りに座るハルの、スチール缶を握る手が……震えてる。
悔しさで…震えてる。
でも……本田医師の話はそれだけでは終わらなくて。
さらに胸が痛む話を続けてくれた…―――――――――…。

