何の慰めの言葉も思い付かず、気の利いた言葉も思いやりに富んだ言葉も何も出てこなかった。
俺に出来た事といえば、ただ…隣りにいただけだった。
お互い口を閉ざし、酸素ボンベのシューシューいう音だけが響く中でただただ…俺たちは並んで座っていた。
――――――…コンコン。
お互いが何も語らなくなって数十分。
来訪を知らせる音がするドアに目を向けると、こっちが返事をする前にスー…と引き戸が開き、白衣に身を包んだ医者がらしき人が部屋に入ってきた。
俺たちが居るとは思わなかったその医者は、並んで座る俺たちを見て少し驚いていたがすぐさま自己紹介をした。
「…あ、どうも。担当医の本田です」
簡潔にそう述べてペコッと頭を下げる本田医師(せんせい)に、俺も席を立ち軽く頭を下げた。

