「お前が行ったら余計話がややこしくなんだろうがっ!」


「何でだよっっ!」


「おまっ…!忘れたのかよ!?

サツキちゃんは俺に『私フラれたんです』っつったんだぞ?

ただでさえ気まずい中のお前が行って出てくるわけねぇだろ!?」


「その誤解もちゃんと説明してくる…!」


そう言ってまた飛び出そうとするから「待て待て…!」と止める俺。


そうやって、すったもんだと開けっ放しのドアの前でもみ合っている時だった。


「あの~…―――――…?」


不意に聞こえてきたその見知らぬ声に俺たちはピタッと動きを止めた。


ヤベッ…客か!?


そう思って、聞こえてきた声がする方に慌てて向直ったが……この部屋のドアの数メートル向うからこちらを伺う彼は………どう見ても客には見えなかった。