ついに泣き出したカオリの泣声だけが部屋に響いていて。


その部屋の中で窓の外をジッ…と見つめるハルの背中は自分を責めているようだった。


だけど…それは俺も同じだ。


あの時、俺がもっと早くに下に降りてれば…。

もっと早くに仕事が片付いてたら…。

俺が「手伝ってくれ」と呼び出さなければ…。


そしたらサツキちゃんは傷つかずにすんだかもしれないのに。


あんなセリフを吐かせなかっ………え??


そこまで考えて、ハッ!とした。


「お、おい!ハルッ!

サツキちゃんが泣いてた理由と叩かれた理由はわかったけど…じゃあ……あの『今までありがとう』の意味は……」


その先は言えなかった。


多分…ハルも同じことを思ったはずだから迂闊に口にしたらいけない気がした。