「その点に関しては確信は持てないんだが」

達郎は少し唇を尖らせてから、泉田の罪歴を訊いてきた。

それが何を、と言いかけた越沼さんを、星野警部補が制する。

あたしは手帳を取り出すと、泉田の罪歴を読み上げた。

「その内容だと、今回の罪と併せて、累積で懲役9年てとこか」

達郎のつぶやきに、星野警部補は同意のうなずきを見せた。

あたしはようやく合点がいった。

「範子は泉田の復讐をおそれたのね?」

自分の密告によって逮捕されたことを知れば、泉田は自分を恨むだろう。

そうなれば数年後に泉田が塀の外から出てきた時、自分は無事でいられるだろうか。

範子はそう考えたのだ。

「だから範子は怪談話に例えて、遠回しに捜査協力しようとしたのね」

あたしの言葉に達郎はうなずいた。

「ただし、この説は強引な背負い投げもいいとこだ。範子への事情聴取で明らかにするべき問題だろうな」

確かに。

ここから先はあたしたちの仕事だ。