「知りたいことがあるならこっちで調べるわよ」

しかし返ってきたのは、「あー」とか「うー」とかいう返事。

ダメだ、完全に自分の世界に入ってる。

達郎がこうなった場合、あの『スイッチ』が入る直前まで、こっちは待つしかない。

「あの、お客様…」

振り向くとそこには喫茶店のウェイトレスが立っていた。

トレイを抱え、不審そうにあたしと達郎を見ている。

まー気になるわな、この光景。

でも説明するのは面倒だったので、あたしは

「下げてもらえる?」

と、アイスコーヒーのグラスをウェイトレスに示した。

年の頃は二十歳ぐらい、真面目そうなおさげ髪のウェイトレスは、不審そうにあたしを見たまま、グラスを受け取った。

「うーん…」

達郎は唸りながら携帯を取り出した。

しきりにボタンをいじって、食い入るように画面を見つめている。

どうやらなにか検索しているようだった。

「あった」

そう言ったきり、達郎は黙り込んだ。