そんな時―― 茂みから、小さな鳴き声が聞こえた。 …猫? ここら辺は、野良猫が多い。 だからいても不思議じゃないんだけど。 「あれ、しの?」 気になった私は、声のした方に走って行った。 まるで導かれるように。 これが、間違いだなんて分からないまま。 ――あ、いた。 神社の階段を下りて、すぐ。 真っ黒でキレイな猫がいた。 今日は満月 月が猫を明るく照らしていて、薄気味悪かった