「いい加減、元気出せよ。お前らしくないぞ」


分かってるよ、と前田は呟くようにいった。


「俺、凛子に余計なことしちまったかな…」

「それは俺の台詞だよ」

「何で?三浦は俺の指示通りに動いてくれただけじゃん。あの作戦で元気出ると思ったんだけどな。俺の読み、失敗だわ」

「だからそう簡単に解決する問題じゃないって分かっただろ。青柳はそこまで単純じゃないから」

「いやいや、凛子は単純過ぎるぐらい単純だぞ。この間だってな──」

「そうだとしても」斗真は強い口調で遮った。

「ずっと一緒にいた奴が突然いなくなったんだ。お前はいいかもしれないけど残された方はずっとその苦しみを背負っていかなきゃならないんだ。そう簡単に忘れられないんだよ」


前田の表情が曇る。

斗真は我に返り、慌てた。


「悪い。言い過ぎた」


いや、と前田は力なく笑う。